家庭医療と痛みの診察室

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変形性膝関節症の痛みに生姜は効かないかもしれない

変形性膝関節症の痛みと機能に対する生姜の効果:PRISMA系統的レビューとメタ分析

Araya-Quintanilla F, Gutierrez-Espinoza H, Munoz-Yanez MJ, Sanchez-Montoya U, Lopez-Jeldes J. Effectiveness of Ginger on Pain and Function in Knee Osteoarthritis: A PRISMA Systematic Review and Meta-Analysis. Pain Physician. 2020;23(2):E151-E161.

背景

 生姜は筋骨格系の痛みの補完的な治療法として提案されてきた。しかし、有効性、種類、安全性については不明な点が多い。

目的

 変形性膝関節症患者における疼痛緩和および膝機能改善のための生姜の消費または外用の有効性を検討する。

研究デザイン

 無作為化臨床試験のメタアナリシスを伴うシステマティックレビュー。

方法

 Medline、Central、CINAHL、PEDro、SPORTDiscus、LILACSデータベースで電子検索を行った。研究を選択するための適格基準は、変形性膝関節症と診断された患者の疼痛緩和および膝機能に対する生姜の摂取および/または外用をプラセボまたは他の介入と比較した臨床試験を含んでいた。

結果

 7つの臨床試験が適格性基準を満たし、定量的合成のために4つの研究が含まれた。

比較カプセルとプラセボの比較

 疼痛の平均差は-7.88mm;95%信頼区間(CI)、11.92~3.85(P = 0.00)、膝機能の標準平均差は-1.61点;95%CI、-4.30~-1.09(P = 0.24)であった。

生姜外用薬と標準治療の比較

 疼痛の標準平均差は0.79mm;95%CI、-1.97~0.39(P = 0.19)、膝機能の標準平均差は-0.51ポイント;95%CI、-1.15~0.13(P = 0.12)であった。

限界

 現在のエビデンスは不均質であり、方法論の質が低い。

結論

 変形性膝関節症患者の疼痛緩和と機能改善において、プラセボと比較した経口生姜の使用を支持する証拠は不十分である。他の比較では、統計的に有意な差は認められなかった。

 

所感

 生姜は体を強力に温めて痛みを和らげるイメージでしたが、変形性膝関節症に対する効果は不明との結論となりました。

 ただ生姜を含む漢方薬として越婢加朮湯などがあり、関節痛に処方してとても良く効くことがあります。生姜だけでなく、複数の生薬を組み合わせることが重要なのかもしれません。