家庭医療と痛みの診察室

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変形性膝関節症に対するコルヒチンの効果

変形性膝関節症の治療におけるコルヒチン経口剤の有効性と安全性の評価。無作為化比較試験のメタアナリシス

Liu W, Wang H, Su C, Kuang S, Xiong Y, Li Y, Gao S. The Evaluation of the Efficacy and Safety of Oral Colchicine in the Treatment of Knee Osteoarthritis: A Meta-Analysis of Randomized Controlled Trails. Biomed Res Int. 2022 Jan 29;2022:2381828. doi: 10.1155/2022/2381828. PMID: 35132374; PMCID: PMC8817842.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

目的

 膝関節症に対するコルヒチン経口投与の有効性及び安全性を検討すること。

デザイン

 メタアナリシス。データソース 創刊から2021年12月12日までのEmbase、PubMed(MEDLINE)、Cochrane Library、Web of Science。

 研究の選択。膝OAに対してコルヒチンとプラセボを比較したRCTを対象とした。言語や日付の制限は適用されなかった。2名の著者がデータを抄録し、質を判断した。

 アウトカムは、VAS-pain、WOMAC total index、患者報告による有害事象など。

結果

 400人の成人OA患者を含む合計5つのRCTが、組み入れ基準を満たした。平均年齢は56.05歳(21~79歳)で、80.87%が女性であった。

 コルヒチン投与群とプラセボ投与群を比較したところ、VAS-painに差はなかった(MD -1.49; 95% CI -3.15, 0.17; p = 0.08)。また、WOMAC total index(std. MD -0.13; 95% CI -0.64, 0.38; p = 0.61)、患者報告有害事象(RR 1.23; 95% CI 0.72, 2.11; p = 0.46)に統計的な差はみられなかった。

結論

 コルヒチンは、現在、膝関節OAの治療法として推奨されていないが、重要な効果がある可能性がある。

 利用可能なデータ間で評価指標にばらつきがあるため、結論は限定的である。本結果を確認するためには、より大きなサンプルサイズとより長いフォローアップを伴う更なるRCTが必要である。

 

所感

 変形性膝関節症に対するコルヒチン投与は、(今回の研究で有意差は無かったものの)有効な可能性があるかもしれないようです。