家庭医療と痛みの診察室

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皮下注射による水分補給は安全で短時間におこなえる

高齢者における皮下投与と静脈内投与の水分補給の副作用。評価者盲検法による無作為化比較試験(RCT)

Danielsen MB, Worthington E, Karmisholt JS, Møller JM, Jørgensen MG, Andersen S. Adverse effects of subcutaneous vs intravenous hydration in older adults: An assessor-blinded randomised controlled trial (RCT). Age Ageing. 2021 Oct 13:afab193. doi: 10.1093/ageing/afab193. Epub ahead of print. PMID: 34651171.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

背景

 水分補給療法は、高齢患者のケアにおいて不可欠である。皮下(SC)水分補給は非経口的水分補給に関連する方法であるが,このテーマに関する臨床試験は,更新された基準に比べて方法論的に不足している。

デザイン

 評価者盲検の非劣性RCTで、SCが静脈内(IV)に代わる安全な水分補給法であるかどうかを検討する。

参加者

 対象となる患者は以下の通り。非経口的な水分補給を必要とする65歳以上の入院患者。目標サンプル数は、各群67名。

介入

 患者は、24時間の観察期間中に、IVまたはSCカテーテルによる非経口的水分補給に無作為に割り付けられました。無作為化されていないカテーテル(不活性)は偽装として患者に留置され、それにより介護者と結果評価者の目が見えなくなった。

測定

 主要評価項目は、少なくとも1つの副作用を報告した患者の割合で、20%のマージンを用いて非劣性を計算した。

結果

 対象となった患者は51名で、24名がSC、27名がIVに割り付けられた。募集、時間的制限、COVID-19などの課題により、目標としたサンプルサイズに到達できなかった。

 副作用の結果については、SCはIVに比べて非劣性であった(p = 0.012)。カテーテルの挿入にかかる時間はSCの方が短かった(p=0.001)。挿入時の痛み、注入時の不快感、せん妄発生のリスクでは両群に差はなかった。

結論

 SCは静脈注射による水分補給に代わる安全な方法であり、より短時間で留置できるため、高齢者が介護される場所では非経口的な水分補給のために利用できる方法であるべきである。

試験の登録

 臨床試験登録:ClinicalTrials.gov Identifier: NCT03710408。

キーワード

 評価者の盲検化、水分補給治療、皮下注射、非劣性、高齢者、無作為化比較試験。

 

所感

 皮下注射による水分補給は安全な方法であり、静脈注射と比較し短時間でおこなうことができます。