頚肩腕症候群を客観的に評価するためにサーモグラフィーが有効
背中と首の症候群に対する赤外線サーモグラフィの筋骨格への応用:システマティックレビュー
Albuquerque NF, Lopes BS. Musculoskeletal applications of infrared thermography on back and neck syndromes: a systematic review. Eur J Phys Rehabil Med. 2021 Jun;57(3):386-396. doi: 10.23736/S1973-9087.20.06287-5. Epub 2020 Oct 28. PMID: 33111511.
はじめに
サーモグラフィは,体表面やその近傍の温度変化を非侵襲的に検出する方法である。その有用性はまだ十分に検証されていないが、スクリーニングや治療効果のモニタリングを補完する方法として利用できるかもしれない。
このシステマティックレビューでは、背中や首の症候群を持つ被験者のアウトカムを測定するツールとしての赤外線サーモグラフィの役割を評価している。
エビデンスの取得
文献検索:米国国立医学図書館(MEDLINE)、Web of ScienceおよびScopusデータベースを用いて、背中と首の症候群を持つ被験者のアウトカム測定ツールとしての赤外線サーモグラフィの役割を評価した研究を検索した。
レビューは、Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta-analysis (PRISMA)に基づいて行われた。
エビデンスの統合
検索戦略と選択基準により,812件の論文が得られた。これらの中から268件の重複を削除し,本レビューの目的に沿ったものは16件のみであった。最終的には、7つの論文だけが対象基準と除外基準を満たし、レビューに含まれた。
レビューした論文によると、サーモグラフィは炎症活動の変化を客観的に示すことができ、治療の有用性や患者の症状の改善・悪化を裏付けることができるようである。全体的な研究の質は、研究デザイン、エンドポイントの測定方法、サンプルの特徴などにばらつきがあった。
結論
背中や首の症候を持つ患者における赤外線サーモグラフィの役割に関する質の高い研究は、まだ限られている。
サーモグラフィーは、診断ツールというよりも、健康な状態からの逸脱を特定することで、治療の効果をモニタリングするための客観的なツールとなりうる。