ヨーロッパのガイドラインにおける首と腰の痛みに対する推奨治療
ヨーロッパにおける首と腰の痛みに対するエビデンスに基づく治療の推奨。ガイドラインのシステマティックレビュー
Corp N, Mansell G, Stynes S, Wynne-Jones G, Morsø L, Hill JC, van der Windt DA. Evidence-based treatment recommendations for neck and low back pain across Europe: A systematic review of guidelines. Eur J Pain. 2021 Feb;25(2):275-295. doi: 10.1002/ejp.1679. Epub 2020 Nov 12. PMID: 33064878; PMCID: PMC7839780.
背景と目的
本システマティックレビューでは、欧州で使用されている首・腰痛(NLBP)の臨床診療ガイドライン(CPG)から得られたエビデンスを統合し、欧州全体で使用される推奨治療法を明らかにした。
データベースとデータ処理
2013年1月1日から2020年5月4日まで、13のデータベースを包括的に検索し、専門機関/組織によって発行されたNLBPのプライマリケア管理のためのエビデンスに基づく最新の欧州CPGを特定した。
抽出したデータには、目的と対象者、作成と実施の方法、治療法の推奨などが含まれている。ガイドラインを批判的に評価するためにAGREE IIチェックリストを使用した。ガイドライン間の推奨の方向性と強さを要約し、総合的に判断するための基準を作成した。
結果
欧州8カ国の17のCPG(腰痛11、首痛5、両方1)が確認され、そのうち7つが高品質であった。首の痛みについては、弱めまたは中程度の強さの推奨が一貫して行われていた:
安心感、助言と教育、手技療法、運動療法・プログラムの紹介、経口鎮痛薬と外用薬、さらに特定のサブグループに対しては心理療法や集学的治療が推奨されていた。
腰痛と首の痛みの間の注目すべき推奨の違いは、i)首の痛みには鎮痛剤を使う(腰痛には使わない)、ii)腰の痛みに特有のサブグループには、仕事に基づいた介入、職場復帰のアドバイス・プログラム、外科的介入などの選択肢がある(首の痛みには使わない)、iii)腰の痛みに対する推奨の強さ(一般的には中程度または強い)が首の痛みに対するものより大きい、などであった。
結論
欧州のCPGのレビューでは、NLBPに対して主に非薬物療法を中心とした治療法が推奨されており、欧州全域で使用することに幅広いコンセンサスが得られた。
意義
最近の欧州の臨床診療ガイドラインでは、首と腰の痛み(NLBP)を持つ患者に対するエビデンスに基づいた治療推奨に関するコンセンサスが得られており、主に非薬理学的な治療法が広く認められている。これには、すべてのNLBP患者に適用できる可能性のある選択肢と、特定の患者サブグループにのみ適用できる選択肢が含まれる。
今後、Back-UP研究チームでは、これらのエビデンスに基づく治療法を、ファーストコンタクトを受けた臨床医がアクセス可能な臨床医意思決定支援ツールに反映させる予定である。