家庭医療と痛みの診察室

家庭医療と痛みの治療を中心に、調べたことや感じたことをアップしていきます。

慢性的な痛みに対して、マインドフルネスを利用してみる

慢性疼痛患者へのマインドフルネスアプローチの事例

山本 和美, 中井 吉英, 慢性疼痛患者へのマインドフルネスアプローチの事例, 心身医学, 2021, 61 巻, 2 号, p. 147-152

doi.org

抄録

 慢性疼痛患者に対して, 身体を活用するマインドフルネスアプローチを実施した事例を紹介した.

 マインドフルネス瞑想により, 痛み感覚に受容的な注意を向けて観察する心の姿勢が育まれ, 痛み感覚への注意の固着や破局的な認知が緩和されて痛みに対する自己効力感が高まった.

 痛みとの関わり方を模索しながら, 生活習慣の改善, 自己の性格・行動傾向や症状発現の背景への気づきに至った過程を内受容感覚の視点も交えて考察した.

 

所感

 慢性的な痛みになると、身体的、精神的、社会的に様々な要因が絡むようになります。そのため治療に難渋します。

 『痛みが「恐れるもの」から、やり過ぎる傾向を見極める一種の「パロメーターの役割」に変化している』

 『「痛みはあるが、普通の人以上の生活ができている」と受容して痛みにとらわれない生活に変化した』

 『マインドフルネスアプローチにより、自己の内面に向き合って自己理解を深め、痛みにとらわれない新しい生き方を模索する貴重な機会にもなる』

 本文の言葉ですが、薬物療法以外の治療法として、マインドフルネスアプローチはしっかり押さえておきたいところです。