家庭医療と痛みの診察室

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緩和ケアにおける制吐剤としてのオランザピンの効果(システマティックレビュー)

緩和医療における制吐剤としてのオランザピンの使用:文献の系統的レビュー

Saudemont G, Prod'Homme C, Da Silva A, Villet S, Reich M, Penel N, Gamblin V. The use of olanzapine as an antiemetic in palliative medicine: a systematic review of the literature. BMC Palliat Care. 2020 Apr 22;19(1):56. doi: 10.1186/s12904-020-00559-4. PMID: 32321488; PMCID: PMC7178955.

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

背景

 オランザピンは、多くの中枢神経系受容体に親和性を有する非定型抗精神病薬である。その有効性は、化学療法誘発性の吐き気および嘔吐の予防および治療に関するいくつかの研究によって裏付けられている。緩和ケアにおけるオランザピンの制吐剤としての使用については推奨されていない。本研究の目的は、2015年に発表されたFonteらの初期研究を補完し、文献が緩和的状況での制吐薬としてのオランザピンの使用を支持しているかどうかを判断し、実際に緩和的状況に適応した治療法を提案することである。

方法

 PRISMA基準に従って文献の系統的レビューを行った。PubMed、Cochrane、RefDoc、EMBASEデータベース、灰色文献データベースを検索した。書誌検索は2016年11月から2017年8月の間に実施した。

結果

 13 件の論文が含まれていた。症例研究2件、症例シリーズ3件、レトロスペクティブ研究3件、プロスペクティブ研究2件、文献レビュー2件。すべての研究は、緩和ケア設定における制吐薬としてのオランザピンの有効性について結論を出していた。重篤な副作用は報告されていない。文献レビューのデータに基づき、緩和ケアの状況に合わせた治療法を提案する。

結論

 オランザピンは多くの受容体に作用し、その耐性プロファイルから、緩和医療における興味深い制吐薬である。しかし、現在までのところ、研究は不足しており、統計的な力も低い。したがって、通常の治療と比較して、緩和ケア患者におけるこの治療の有用性を決定するためには、さらなる調査が必要である。

キーワード 制吐剤、非定型抗精神病薬、オランザピン、緩和医療

 

所感

 オランザピンはドパミンセロトニンヒスタミンムスカリンなど複数の受容体に作用して制吐作用を起こします。プリンペランナウゼリンなどの末梢性制吐薬で効果無い時に、オランザピンなどの中枢性制吐薬を用います。